2015年1月17日土曜日

お骨のこと


遺骨に対して先祖たちは特別な思いをもって接してきました。




葬法(人が亡くなって供養を進める方法)の一面には遺体が朽ちていく変化を見つめながら心情の対処を含んでいました。


お骨になるまでの葬法としては色々ありますが、大きく3つに分けられます。

1「風葬・水葬」
2「土葬」
3「火葬」

の3グループです。


1 「風葬・水葬」は遺体を藪の中や岩陰、水につけるなどして自然の風化にまかせます。

地方性、風習等で期間や方法にバリエーションがありますが数年から十年を経て白骨化した骨は洗い清められます。

お骨は「甕」に入れられて、お墓に(墓所)に納められます。



2 「土葬」は棺に納められた遺体を穴を掘って埋める葬法です。数年後に骨になったか確かめて骨を洗い清める風習もありますが、ほとんどの場合は埋葬したらそのままお墓を建てます。


3 「火葬」は炎によって遺体を焼き、お骨にする葬法です。焼骨は甕に入れられお墓に納められます。


ここで注目するポイントは骨化の期間です。




早い順に並べ替えてみます。


火葬:1時間から2時間

風葬・水葬:数年から十年

土葬:いつ骨になったか基本的に分からない




1「風葬・水葬」は遺体が朽ちていく間、近親者の気持ちは落ち着かないものだと思います。そのことは恐怖と受け取られました。

不安な気持ちは悪霊と重なり様々な宗教儀礼によって対処されます。骨になって初めて、故人の霊魂は浄化され先祖の霊と同化したと考えられました。



2「土葬」は墓所自体に恐怖心が付きまといます。そこにはいつまでも故人がいます。
死者・死霊は墓所に封じ込められる対象でした。
ですから、霊を眩ませるためにグルグル回って方向を分からなくさせたり、帰り道を変えたり、履物を置いて(進む方とは反対に向けて)駆けて家まで帰りました。



3「火葬」すると短時間でお骨になります。
火の浄化力によって清められ、お骨になった故人はすでに煙と共に天界の先祖の所に旅立って行くと考えられました。
霊が浄化されたということによって、故人に対する愛惜の感情をいだきやすくなります。



お骨になった故人は祖霊の仲間入りを果たし、他界と私たちの世界を行き来して(お盆・お正月など)私たちを見守り続けるのです。



現代のお葬式の方法(火葬)は故人に対しての愛惜の念の高揚に力を貸しました。



お墓にしても先祖のお骨と同じ所に納められる事によって、祖霊としての感情を持ちやすいのではないでしょうか。


手元供養と言ってペンダントや小さな容器にお骨を納めて身近に置く供養の方法もあります。
昔からある分骨が身近に感じる方法を取り入れた形と言えるかもしれません。




しかし、昔のような時間のかかる「葬法」にも意味があることを忘れてはいけないと思います。

時間をかけて故人を偲ぶことが自然の時の流れに合っているのかもしれません。



人間の感情の進む早さ(気持ちを整え立ち直るまでの時間的な早さ)を考えると、現代に合った方法が必要なのではないかと思います。

「故人様をちゃんと送ってあげられた」という想いなのかもしれません。







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